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耳鳴り・難聴の治療法

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多くの方が困っているにもかかわらず、現代医学では原因が判らず、根本治療法がないのが耳鳴り・難聴です。検査をしても異常がないのに一向に治らず、キーン、ジージー、ザーザーなど不快な音が気になったり耳が塞がったようになることから、やはり脳に問題があるのではと不安が増幅して不眠やうつにまで発展し、安定剤やうつ剤が処方されることもしばしばです。

店頭では主に40代以降、年齢が高くなるにつれて相談割合が増えていく傾向にありますが、20代30代の方からのご相談もあります。

 

(漢方での耳鳴り・難聴の考え方)

漢方では、耳鳴りと難聴は密接な関係があり、耳鳴りは難聴の軽症、難聴は耳鳴りの重症と考えます。一般に耳鳴り・難聴というと耳の病気と考えがちですが、耳は音を捉える感覚器であって、実際に音を認識するのは神経系中枢である脳なので、実際には耳と脳と両方の働きに関係してきます。

 

①   腎の弱り(腎陰虚・腎陽虚・心腎不交)

東洋医学では耳は腎の出先機関で、腎のエネルギーが耳の機能を維持していると考えます(腎は耳をつかさどる・腎気は耳に通ず)。また脳の音声認識機能についても、腎の機能が脳の機能を維持していると考えます(腎は脳髄をつかさどる・腎は脳に通ず)。腎は成長・発育・生殖に関わったり、脳の働きを充実させたり、生命活動の原動力となる重要な臓器ですが、加齢や体力低下、病気などで腎が弱ると耳や脳にエネルギーを送ることができなくなり、耳鳴り・難聴を起こします。腎の弱りは40代以上での発症の最大の原因といえるでしょう。ちなみに腎の衰えは男40才・女35才から始まり、腎精は男64才・女49才で尽きるとされています。これらの年齢が発症の分かれ目といえるのかも知れません。

耳の症状のほか、足腰のだるさや弱り・手足の冷えやほてり・不眠・動悸なども現れます。

 

②   肝の弱り(肝血虚・肝気鬱血)

肝は栄養分の血(けつ)を貯蔵しており、耳などの全身各疾患に栄養を与えています。精神活動が安定していれば、血は全身に循環して耳にも栄養が届きますが、過労や栄養不足、ストレスで肝が弱ると耳に栄養が届かず、耳鳴り・難聴が起こります。また肝に弱りがあると腎も弱ってきます(精血同源・肝腎同源)。

肝の弱りは比較的若い世代で多い発症原因です。耳の症状の他、目の不調・頭痛・筋肉の凝りや痛みなどにも現れます。(肝は血を蔵す・肝は筋肉をつかさどる・肝は目に開竅す)

 

③   脾の弱り(脾気虚・清陽不昇)

脾は飲食物を消化して生成した栄養物質を全身に運ぶ(脾は運化と昇清をつかさどる)ので、耳にもエネルギーを供給しますが、疲労や胃腸虚弱で脾が弱ると耳に栄養が届かなくなり、耳鳴り・難聴が起こります。脾の弱りは年代に関係なく見られる発症原因です。耳の症状の他、全身倦怠、食欲不振、軟便下痢なども現れます。

 

④   耳竅の閉塞

耳鳴り・難聴が続くと耳竅(じきょう)(耳と腎を通行させる通路)が目詰まりを起こして気血(栄養)が耳に届かなくなり、耳鳴り・難聴が長期化するとともに①~③を改善する漢方薬の効きめも悪くなってしまいます。

 

このように耳鳴り・難聴では、耳(症状が現れる場所)よりも全身(原因となる場所)の症状を重視します。実際の選薬では病理タイプを見極めたうえで・・・

①   腎の弱り・・・補腎薬

②   肝の弱り…補血薬、疎肝薬 から基本薬を選択し(複合パターンあり)

③   脾の弱り・・・補脾薬

そこに④開竅薬を併用するのが症状改善のコツとなります。詳しくは店頭でお尋ね下さい。

 

「聡明」という言葉があります。これはもともと「聡耳明目」という漢方用語を簡略化したものです。聡耳明目とは聞いたことや見たことをしっかり理解でき、その背景にまで考えが及ぶという意味ですが、もともとは、耳は腎の出先機関、目は肝の出先機関なので、聡耳明目であるためには肝・腎の充実こそが重要という深い意味があります。

 

当店では①腎の弱り②肝の弱りに良い漢方薬として滋腎通耳湯があり、③脾の弱りの漢方薬として補中益気湯があります。さらに④耳竅の閉塞をとるものとして人参牛黄や牛黄清心丸などの牛黄製剤を取り扱っております。このほかに手足のほてりがあれば六味地黄丸、ゆううつ感があれば帰脾湯、夜間頻尿があれば八味地黄丸、めまいがあれば苓桂朮甘湯、血圧が高ければ還元清血飲や通導散、イライラがあれば加味逍遙散、不眠があれば酸棗仁湯、足腰の痛みがあれば独活寄生丸などもあります。田七人参やイチョウ葉などの健康食品との併用もおすすめです。

 

(健康コラム 補腎とアンチエイジング)

五臓の中でも「腎」は成長、発育、生殖能力、ホルモン分泌、免疫力、骨格維持、脳の活動などに関与し、生命活動を維持する中心であると考えています。
したがって腎虚(腎の働きが低下)になると生命活動が衰退し、機能低下や老化が進みやすくなるのです。

足腰の弱り

腰痛 膝痛 下肢痛

骨や関節の変形 骨折

膀胱炎 尿もれ 夜尿症

免疫力の低下

疲れ 息切れ 血圧異常

精力の減退

自律神経の失調

寝つきが悪い 不眠

腎炎 浮腫 糖尿病

病気が治りにくい

高熱(低熱)が出る

シミ シワ 肌荒れ

口渇(特に夜間)

白髪 脱毛

目の疲れ 視力低下

味覚が鈍感 異常

耳鳴り 難聴

物忘れ 記憶力低下

強い冷え症 しびれ

強い生理不順 生理痛

慢性の皮膚病

動作がにぶい

手足顔のほてり

歯と歯茎の弱り

成長発育の遅れ

腎虚を治すことを補腎といい、腎に力を与えるのが補腎薬です。
補腎薬は同時に内臓・血管・神経・骨・免疫を強化する働きもあるので、まさに抗老化の主役と言えます。